甲州の温泉&蕎麦ソロツーリングに行ってきました。(H18.10.2日)

朝7時町田発、山梨の岩下温泉入って、蕎麦喰って、2箇所の温泉梯子して、帰着は夜6時。

足はスペイシー100。燃費は往路順調、復路上野原→町田まで鬼のスリ抜けにも関わらず
47km/lを記録。

デジカメの調子が悪く途中から写真なし。無念!
でも得たものが多い、嬉し楽しツーリングでした。

甲州最古の湯とされる「岩下温泉」
霊泉の冷泉と言われる、一軒宿の岩下温泉旅館だ。

立ち寄り湯は写真の旧館。宿泊は別連の立派な新館を利用する。
この
旧館の浴場が出色。建物は明治の遺築。館内の木の床や梁は、年月に磨かれた堂々たるもの。
訪館時には立ち寄りの女性客が一人。聞けば土地の人だ。
「ゆ」と暖簾の下がる玄関左手から上がる。誰もいなくても大声で呼べば出てきてくれる。

入浴料300円。
貴重品は宿の人が預かってくれる。
温泉の由来などが浴場の壁に掲げられている。
由来は、必読だけどめんどくさいので、詳しくはこちら。

http://iwashita.fruits.jp/

入口からまっすぐ奥へ進むと、一段高いところに浴場がある。

通路の左手は脱衣所と、加温された内湯。
右手は一段下がった大浴場だ。

写真は左手の内湯。
手前の縦長の浴槽が、湯温35度の源泉掛け流しの浴槽。奥は循環加温で丁度良い湯加減。

源泉はさすがに冷たく、はじめは浸かるときに思わず腹筋に力が入る。でも馴れてくると自然に体が弛緩し、淵をまくらに体を横たえていると不思議な浮遊感に満たされる。
ちょうど体の冷える部分は温め、火照る部分を冷ましてくれる温度なのだろう。

湯上がりがまた不思議。私の場合、過去に怪我した部分に仄かな暖かさを保持した。冷泉の、まさに霊泉。

で、こちらは通路右手の大浴場。
2mぐらい下に浴槽がある。
まるで地下に作られたプールのようだ。

湯船の広さと言い、どう見てもこちらのほうがメインの浴槽。
青く見えるのは外光のため。湯そのものは無色透明。

写真の真ん中の茶色い柱が、一応男女の境界。

脱衣所は通路を挟んだ左手の内湯と共用だから、
男女ともタオル一枚で廊下を移動し、階段を降りて入浴する。

とにかく広い浴槽で、男女とも20人くらいは一度に入れる。
男女の仕切は、浴槽にはあっても “空間” にはない。
私が背にしている岩が、かろうじて仕切っぽくなっているだけ。

私の右肩に見える四角い黒い穴が源泉の注ぎ口。
内湯の源泉よりも温かい、明らかな「お湯」だ。

升が置いてあり飲泉可。でも、どうやっても浴槽のお湯を汲むことになるので、飲泉は内湯で飲む方がいい。
掛け流しの湯が淵から音を立てて排水溝へ流れている。
古さが趣をました、きれいな浴槽は実に気持ちいい。

調べたら、過去にNHK「ふだん着の温泉」で紹介されていた。
まさに「折り紙つき」の温泉である。
貴重品を預かってくれたお姉さん。
貴重品と一緒に完熟の柿をくれた。

嬉しかったので写真を撮ったのだけれど、3枚撮って、どれも手ぶれ。暗くて露出が合わなかったんだと思う。ごめんなさい。
でも綺麗な方でした。
名前を尋ねたら、宮本さん。で、旧館の表札を見たら「宮本」。
女将さんだったんですね。失礼しました!

岩下温泉は「ツーリングマップル」のP42・A-6。
でもR140から入る場所が不明瞭です。甲府市街からR140で「鎮目」を過ぎ「柳橋」の信号(地図では未記入)通過後すぐに路地を左折、程なく右手に「走湯神社御灯明(?)」と書かれた石灯篭が立っていて、そこを右折。そのまま進めばOK。
神社の隣が新館、その隣が旧館。

※後日女将さんからメールをいただいて、秋から冬にかけては「ほうとう鍋」が好評だとか。料理自慢の宿だから期待できそう。

ツーリング仲間のS氏が
いままで旨い蕎麦なんか食べたことがない!
と言い切ったので、眼鏡にかなう蕎麦屋を探していたところ、甲府にもいくつか。で、
「専心庵」の十割生粉蕎麦と特製豚角煮を。
写真ではちんまりしてるけど、実際は1.5人前の大盛り。付け出しに香の物と、そば粉で作った、甘くないマドレーヌもどきが。蕎麦茶も美味しいし、これだけで結構幸せな気分。
蕎麦は、まだ新蕎麦ではないけれど甘みがあり噛んでおいしいと味わえるもの。「カド」が立ち、キッと締まった口当たりがいい。
つゆは甘くなく、辛くなく。圧巻が蕎麦粉を溶いてドロリとした
蕎麦湯。次回の蕎麦ツーリングはここでいいかな。

写真がないので説得力に欠けるけど、この後は甲府昭和ちかくの「フカサワ温泉」に入湯。
もちろん掛け流しで、薄茶褐色の少々熱めの湯。露天もあり、ちょっと高くて残念な塀越しに、それでも南アルプスの鳳凰三山を望める好立地。浸かれば全身に細かな泡が付着し、尾篭な話だが
「下の毛にびっしり着いて、毛が無くなっちゃうみたい」とは受け付けの、かつて妙齢な女性の言。

次に立ち寄り予定だった「山口温泉」はすぐ先なのだが、「フカサワ」が熱い湯で、まだ当分火照りが取れそうもないので、冷ましがてら少し先の韮崎市は「旭温泉」へ。

地図サイトで検索したのだけれど、これがわかりにくく道に迷うこと約20分。
通りかかる人も少ないので民家に声を掛ければ、このご時世でお年寄りに怪しまれ、来る人見れば小走りで、首を廻しながら訪ねれば「あっちのほ…」と言い差し走り去る。
坂の途中で止まっている、荷物満載の車に乗った女性に尋ねると、実は坂道発進ができず、助けを呼んでもらっているところだと言う。サイドブレーキを引いても効かず、フットも踏んでいて足が辛いという。とても教えてもらえる状況じゃない。

やっとのことで農作業の人に教えてもらって訪ねると、これが大正解の温泉。

施設は新しいため風情は望めないが、とにかくお湯がいい。しかも大量掛け流し。
薄緑のお湯は本当で、館内の張り紙によれば太古の植物性の湯で、しかも石英閃緑石の岩盤より湧出する宝石の湯とも。湯船に浸かりながら、窓にあるいろいろ書き記した張り紙に目をやれば、いちいちごもっとも、ははん成る程などと自然に相槌なども出たりして、そうか、本当にこの温泉を大切にしているんだなという気持ちがこちらにもひしひしと。

窓外に目をやれば、なにやら露天風呂も作れそうなスペースが。
上がり際、受け付けの男性に露天風呂が増設されるのか尋ねると、今の「源泉掛け流し」では湯温も湯量も持たない、加温も泉質を劣化させるから工事予定は無いとのこと。成る程、いさぎよい。
比較的ぬるめの湯に、それでもたっぷり時間を掛けて入れば体も火照る。施設を出て、さっぱりとした気持ちで遠くに目をやれば、韮崎の町を見下ろした、遥か先にそびえる茅ヶ岳に広闊な視界を思い知らされる。
夜景、綺麗そうだなぁ……。

場所はツーリングマップルP41・E-6、「上条中割口」と書いてある「割」の下あたり。

もう満足しちゃったんで、山口温泉は、またこんど。

甲府の温泉、湯も風景も侮り難し、です。


閉じる